
かたまりとロッククライミング。
村上春樹の「職業としての小説家」からの引用。
『小説家の役目はテキストを−できるだけ優れたテキストを−パブリックに提供することにあります。
テキストは「総体」、ひとかたまりとして機能するもの、いわばブラックボックスです。読者にはそれを受け取って、自分の好きなように捌き、咀嚼する権利があります。それがもし読者の手に渡る前に著者によって捌かれ、咀嚼されてしまったら、テキストとしての意味が大きく損なわれてしまいます』
そして、コルクの羽賀さんの記事にもこんなものがあった。
それがどれくらい嬉しくてどういう種類の嬉しさなのかという事は、その感情にいたるまでの経緯を覗くことよってしか、読者は想像できない。
だから、ロッククライミングの石を配置するように、読者がある感情にたどり着けるように場面をひとつひとつ丁寧に作っていかなければならないのだと。
そして自分の経験した感情であれば、その石をどう配置すればその感情に到るのかを再現しやすいのだ、とも教えられました。
作家に必要なのは出来事を「分析する力」ではなくて「まるっと覚えてる」ことなのかもしれない。
僕は割といろんなことをすぐ忘れるので、思い出す癖をつけたい。
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金曜、土曜、日曜の日記。
金曜日、展示の撤収のために昼前からカレー屋ラッキーに。仕事で京都から来てくれたファンの方、コルクインディーズのイベントから来てくれてるファンの方、いつも応援してくれる純平さん、コルクラボのオカピさん、かわんじさん、ヴィレッジヴァンガード時代の同僚夫妻と赤ちゃん、それには僕の奥さんが来てくれた。
展示をして、いろんな人がいろんな形で関わってくれた。展示については改めて書きたい。
夜撤収後、羽賀さんがご飯に誘ってくれた。
サインを書くのを終えてからと言うとサインしたあとに半紙を挟むのを手伝ってくれた。
その後二人、餃子のお店に行き、少し並んで入った。
主にマンガやコルクのことについて話した。
羽賀さんと二人で飲んだのは初めてだったが、色々と話せて良かった。教えてもらってばかりだった。
会計は展示の祝いだと奢ってくれた。
帰るときに入れ違いでコルクの人たちが来て羽賀さんは続けて残ったが僕は終電が心配なので帰った。
土曜日
日中は似顔絵などをダラダラとやる。
コルクに行くようになってから家で集中できなくなってしまった。
夕方から、宍戸さんに進められていた高畑勲展に奥さんと行く。
奥さんは見なくてもいいとのことだったのでどこかで待つといって入口でわかれた。
展示自体はそこまで混んでいなかった。
会場で市販のDVDの映像が流れており、それに集まっている人がかなりいたが、買えば見れるものを展示のときに見る心理がわからなかった。
文字テキストの情報は内容としては分断していてわからないが、絵を描かない監督が自分のイメージを伝えるためにどういうことを考えているのかを知れて刺激をうけた。
図録は品切れで後日配送とのことだったので申し込んで、奥さんへお土産のしおりと「ホルスの映像表現」を買って帰る。
帰りに、池袋まで戻り、餃子を食べたいと思い探す。池袋西口の台湾の餃子屋に入る。いろんな種類の餃子があり面白い。ビーツを生地に練り込んだものや、具も魚介からキノコまで、バラエティ餃子10個入りを食べた。
10個入り二皿と、瓶ビール一本で3000円と、かなり高く、餃子を食べた体感としては高すぎると思ったが、色んな餃子をしれたと、自分を納得させようとする。足りないのでサンマの出汁のラーメンを食べて帰る。
日曜日
もはやどう過ごしたか忘れるほど何もしなかった。
母が旅行に行ったとのことで、実家が近いので猫にえさやりにいく。懐かず、本気で攻撃してくるのでいので音を立てて部屋に入り、奥の部屋に逃げた隙にご飯をやる。
飯をやったのにシャーっとうなる。かわいくない。