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2020年の振り返り。心に残った2つの言葉。

2020年は、長かった。

振り替えるとそう感じるのは、体験が濃密だったからかもしれない。
あるいは単純に、時間感覚がおかしいのかも。

どっちにしても今日は、今年もっとも記憶に残っている2つの言葉を通して、自分の変化の確認と振り返りをしたいと思う。

やじまの超絶個人的な振り返りなので、参考になるかはわからないけど、反面教師にはなるかもしれないので、よかったら。


今年一番の体験は「週刊連載」

今年をふりかえるともっとも印象に残ってるのは、もちろん、今年の4月から9月までLINEマンガで連載した、コッぺくんだ。週刊連載を通して、自分を知り、変化したと感じている。

周りの人が「変わった」と言ってくれるのもあるけど、僕自身が、すごく自分の心の変化を感じていている。

どう変わったかというと、イチバンは「主体的に考える」ことが多くなったことだと思う。

なぜ、主体的に考えるようになったかというと、それは編集をしてくれている佐渡島さんに言われた言葉がきっかけだ。


〆切を3日延長する交渉をしてくれた理由


コッぺくんの最終回の〆切全日、ネームは何度か直してよくなったけど、まだ直せそうだった。でも、作画は最低でも1日かかる。できれば多少丁寧に描きたいから、1日だと既に厳しい。

僕はもう少し直したいけれど、どうしようたらいいかと思っていた。
※感動の最終回はこちらから

〆切までの進捗の悪さを見かねた編集の佐渡島さんから連絡があった。

「締め切りを延ばす交渉をしたから、あと3日大丈夫」

LINEマンガの担当さんと交渉してくれたらしいのだ。


何で交渉をしてくれたのか。
その時、言われたことがすごく印象に残ってる。
(多少記憶の中で言い方は変わってると思うけど)


「やじまくんがそこそこのネームで“もうこれで行きます”っていうかと思ってたけど納得いくまで直そうとしてるのをみて、交渉しようと思った。それはマンガ家にとって一番大事なこと。

覚えておいてほしいのはこれはおれ(佐渡島さん)だから交渉しようと思っただけで、もし、今後マンガ家として活動していっておれじゃない編集が担当についたら、もしかしたら面白くないのに〆切に間に合わせる為に『面白い、これでいきましょう』っていうかもしれない。

結局、マンガの最終的なOKをだすのは編集じゃなくてマンガ家なんだよ


ガーンときた。


マンガは誰かの「これでいい」ではなくて、作家の「これがいい」を描かないといけない。


実は連載開始から、最終回を描くまで、どこか最終的なジャッジを人任せ(編集任せ)にしていたところがあった。
ネームを描いても正解を探していて、それを教えてもらおうとしていた。
マンガに正解はない。自分で「こういうもの」と決める。だから、誰かの「これでいい」ではなくて、作家の「これがいい」でないといけないのだ。

そしてその言葉は、佐渡島さんがクライアントとの交渉をしてでも作家の作品と、作家の未来を一番に考えてくれてるということでもある。面白い最終回であれば、次回作への読者の期待値もあがる。逆に、つまらなかったら、なんとなく不完全燃焼な気持ちになり、忘れ去ってしまうだろう。

実は、正直そんなことを言ってもらうまで僕は、コッぺくんが読まれないのは佐渡島さんのせいだと思ったりしたりしていた。
『なんでこんなバイオレンスエログロが強いメディアでコッぺくんを?勝てるわけない!』などとグチったりしていた。ひどいマンガ家だ、じゃあエログロ描けよ笑


でも、そんな矢島を相手に土曜日の夜遅くまで奥さんの横で打ち合わせをしてくれたり、時には怒ったりムカついたりしながら打ち合わせをしてくれて、本当に感謝の念しかない。
(ちなみにこの時の罪悪感からか、先日夢で佐渡島さんの奥さんと遭遇して『連載中は夜に電話したりして(家族の時間を奪って)すみませんでした』と謝る夢を見た笑)


結局のところ、作家はとことんまで自分の関わる作品に責任をもって、ぜんぶについて自分が納得いくまで議論と修正を重ねる必要があるのだと、そう思った。


そしてもうひとつ、連載終了後に言われた、心に残ってる言葉がある。


受け身で生きてきた10年間に刺さった。

連載終了後、最初の定例だったと思う。

僕はなんとなく次回作をどうするか、自分でも何の考えもなかった。ただ、「佐渡島さんがなんか企画を提案してくれるかも」とめちゃくちゃ受け身だった。なんか、自分の作家としてのフェーズを理解してくれて、いい提案があるかもしれない。

そんな甘い気持ちで出た打ち合わせで、その気持ちを見透かされたのか、言われた。


「人生に主体的でない時間なんて1秒でもあったらいかんよ」

主体的でない時間?

いや、1秒どころか、マンガを描き始めるまでの10年間、ただただアルバイトで生活しながら「なんかわかんないけど変わるチャンス」が訪れないかと受け身でいた時間そのものじゃん。その時間は、自分を変えようともせず、ただ現状に不満を持ってた時間だった。

結局、マンガ家になれたのは、自分で毎日マンガを描き始めたり、行動を始めたからだ。

そんな人間だったので、その言葉は刺さった。

それからは、全部自分からなるべく考えようと、主体的に行動しているつもりだ。何かを食べに行く約束をしたらなるべく自分から日時を提案するとか、そういう細かいことから始めていけば、いいと思ってやっている。(たまに忘れて返事してなかったりするけど、、ごめんね)


そして来年は…


こうやって振り返ると、かなり恥ずかしい態度と生き方だったと、今は思う。今でも、もちろん色んな出来てないことはたくさんある。

でも、そのうえで気づいたのは「恥をかくこと」は変化の原動力になるということ。

恥は、自分や他者への期待や、傲慢さが作った未来への妄想を下回った時に感じるものだと思う。

恥を感じたときに行動を変えていけば、自分のことが少しずつわかると思っている。

来年も、なるべく良い恥をかけるように生きていきたい。


今年の漢字を選ぶなら、やじまは「恥」だ笑





※連載でやってはいけないことを佐渡島さんとふむさんと振り返る動画をコルクスタジオのミヨシさんが作ってくれたのでそれもぜひ。


ではみなさん、よいお年をお迎えください。

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やじま けんじ

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ぎゅっ…
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マンガ家です。元書店員。 noteは面白いマンガを描くための考えやプロセスを見てもらいたくて描いています。エージェント会社コルク所属。 通販→https://corkshop.stores.jp/?category_id=5d720262e4fc3943a9683fa5