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がんばれない人間だったおれが32歳でマンガ家になれた理由。その3.

さくっと書いて終わろうと思ったのに割と長い。

だけれども、他人の人生に起きたスリリングすぎない出来事は、
暇つぶしにはとてもいいと思う。

暇な人は、ぜひ。

〜前回までのあらすじ〜

NHKで働くという奇跡が起こりそうで起こらなかった。
ぼんやりしていると、

少し前までフリーター暇人仲間だった友人から

「今してるバイトと同じだけ出すから仕事手伝って」
と言われる…

なぜ、急に羽振りがよくなったんだ…?


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おれに仕事をくれる、と言ったシマとは中学からの長い付き合いだ。


今、32歳だから19年、、すでに長生きの犬の寿命くらいは付き合いがある。
そう思うと人間の寿命は長い。

中学の時、彼は画家になるといって授業には出ず、公園で鳩のスケッチをして、給食だけ食べに学校に来ていた。
とんだアウトローだが絵は本当に上手かった。

今でも覚えているのは、卒業文集に使う絵を学年で募集したとき、おれとシマは当たり前のように描いて出した。

生徒たちは募集された絵の下に設けられた枠に、シールを貼って投票するのだが彼の絵は圧倒的な得票数だった。

彼の描いたのは写実的な水彩でラッセンの描くようなイルカが水面を跳ねる、躍動感のある絵。

俺の描いたのはマンガのような絵をモノクロのペンで、
学ランが学校の机にかけてあり、なぜか鳥の羽が少し待っている
「卒業〜飛び立つ鳥」
とでもいいたげな青臭い絵だった。
しかもマジックペンで描いた絵をコピーされたせいで、
妙な青い発色になり、ペンタッチも目立ってしまっていた。
恥ずかしい。

おれは、絵のうまさというのは写実よりも
「自分の絵として表現する」
ことが大事だと思っていたので、
彼の写実的な絵が評価されることが受け入れられなかった。

井上雄彦よりも鳥山明がうまい、そういう価値観だった。

今はどっちも違う種類の上手さだとは理解しているけど、
当時は「この学校に絵がわかる人は少ないな…」と思っていた。

投票が終わり結果が出たあと、すぐに自分の絵をはがしてしまった。
敗北感があった。


その後もなぜか同じ専門学校に通って卒業して、
二人ともフリーターになった。

シマはイラストレーターになろうとしていて、
おれはマンガ家になる、と口では言っていた。

俺はまだ本気出してないだけだし、今日から俺は、
とも思っていたし、明日やろうの馬鹿野郎だった。
おしゃれにいえばヌーベルバーグ的とも言えそうな状態だ。

シマは、連絡をくれる少し前から、
ソーシャルゲームのキャラクターのイラストを描いていた。

おれは「あのような絵を描いて、大衆に迎合しているな。ふ。。」と思っていた。
今思うと、おれが単にサブカル野郎だったということだけで、
(ヴィレッジヴァンガードで働いてたし)
アニメ系の絵をあのような絵、というのは偏狭だったと思う。

それにしても「今のバイトと同じだけ払う」

どんな状態になったらそう言えるのか、取材班は謎を解明すべく、
彼とご飯を食べに南米ではなく近所の焼肉屋に行くことにした。

近所の焼肉屋で待ち合わせる。

シマ
「ツイッターでバズったイラストをまとめた同人誌が当って、
めちゃくちゃ儲かってる…」

おれ
「え、儲かってるってどのくらい?」

同人誌、と聞いておれは邪道な稼ぎ方で、
一時的なものだろう、と思った。

シマ
「一冊売れると500円入る本が、毎月〇〇〇〇部売れてる」

おれ
「ということは…(…!!!!???)」

シマ
「やってほしいのはイラストの塗るアシスタントと、
メール返したりアイデア話したりとかなんだけど。」

おれ
「ほお…」

友人の仕事を手伝う、というのはどういうことだろう。
雇用主、非雇用者という関係になる。

優位に立たれ、なんとなく頭が上がらない感じになるのはイヤだ。

自分で、がむしゃらに安い仕事をこなしたほうがいいかもしれない。
そうだ、同人誌の仕事なんてろくでもない。

シマ
「それに、どうせ税金で持ってかれるなら、友だちの生活支えたいと思ったんだよな…。一日数時間だから、コールセンターやるよりは自分の時間も作れると思うし、空いた時間に自分の創作をして、いずれ稼げるようになったら独立すればいいと思うんだけど、どうかな?」

自分が、稼いでいて逆の立場のときに同じことが言えるだろうか。

おれ「ちょっと考えさせて」

とは言ったものの、答えは決まっていた…この期に及んでも、おれの自尊心は保温し忘れたご飯のようにカチカチであった。

続く…

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思ったより長くなって中々現在にたどり着かない。
読んでくれた人、ありがとう。

こんな人間が、周りの人に助けられまくってマンガの単行本を
出せたのでこれはぜひ読んでほしい。

https://www.amazon.co.jp/dp/4894327902

続きはまた後日…


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2/10の日記:

朝、7:00起床。
奥さんはすぐ仕事にでかける。

味噌汁に、お正月にたくさんもらったり買ったりした冷凍の餅を焼いていれたのを食べる。それとチョコ1つ。
青山ブックセンターの近くでやってるファーマーズマーケット良い味噌を買ったのだけど、その味噌がめちゃくちゃウマくてダシがいらない。
10:00頃電車にのり、池袋で佐渡島さんに勧められた本、アルボムッレ・スマナサーラと想田和弘の対談「観察」を探す。池袋三省堂になくジュンク堂で求める。

コルクでは「つのだ×惑丸戦争」の顛末を聞く。
解釈の違いで人がすれ違うのは、愉快ではないが興味深い。
和解した。

コッぺくんのネームに取り組み、14:30から佐渡島さんとふむさんと打ち合わせ。おれは打ち合わせの時、良く喋れるときとよくしゃべれないときがあり、昨日はよくしゃべれずぼんやりしていた。

打ち合わせの中で出た、動物似顔絵、はやりたい。どういうフォーマットだと人が楽しめるか、検討中。人間を先に描く必要があるので、2枚にわけて、投稿するのもいいかもしれない。10~15分ずつで30分以内でやる。

お昼は奥さんがバスマティライスで作ってくれたドライカレーに目玉焼きがのったやつと今朝と味噌汁を飲む。

その後何とか6P分ほどネームをあげる。

8時半過ぎ、ミヨシさん、惑丸さん、ホリプー、秋野さんとかつ丼を食べにいこう、と言っていたので、調べておいたかつ丼屋に行く。
着くとしまっており、18:00閉店であった。

仕方なく、富士そばでかつ丼セットを食べて、秋野さん惑丸さんは渋谷駅へ向かい、ミヨシさんとホリプーと明治神宮前駅まで歩く。

帰って、そば茶を飲み、奥さんと少し話す。寝る。

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毎日、気づくと3時になる。
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ネームとかなんだかんだやってると気がつくと3時くらいになってるなあ、と思ったのでつけました。創作の過程で考えたことを書いています。

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